以前は、日本語学習教科書といえば「みんなの日本語」が主流で、先生たちも迷う事もなかったのですが、いまでは色々な教科書がでていてどれを使えばいいか迷うところです。しかし、逆に考えれば、それだけ生徒にあったものを選ぶことができるわけです。
日本語学校で教える場合はそれぞれの学校に従わなければなりませんが、プライベートのレッスンであれば、生徒に合わせて好きな教科書を選ぶことができます。
では、よく使われる教科書3冊を例にとって比較してみましょう。
皆の日本語 日本在住の会社員向け 表現がやや古いが、入れ替え練習などは有用
GNEKI 留学生や大学生向け 絵や英語をつかった練習ができる。
まるごと 日本在住の労働者向け 写真があるので見やすいが少し内容が薄い。
私が働いていたCartusというアメリカの会社では、講師として契約する際、プライベートの良さをだすために、安直に「みんなの日本語」をつかわずに生徒と相談してそのゴールやレベルに合ったものを決めるようにと念を押されました。
では、具体的にどのように決めたかと言いますと、まず生徒に何今まで使っていたテキストブックがあるかどうかを聞きます。それがうまく使えるどうかを、生徒のゴールに照らし合わせて考えます。そして、合わないようであれば、こちらで用意しておいたものを何冊か見せます。
Cartusの場合は、最短で3か月、平均半年から1年を目安として日本滞在の間に必要な会話力をつけると言ことが目標です。そうなると、「みんなの日本語」や「GENKI」時間がかかるので不向きです。これらは日本語をじっくり時間をかけて基礎から勉強したい人向けです。そういうわけで、私の場合は、これらの使えるところだけをコピーして使っていましたがそのうち、Cartusのレッスンに合うものを自分で作成するようになり、テキストブック「Practical Japanese」を出版するに至りました。これは、基本的な文法をおさえつつ、実践的な会話がすぐにできることを目標としているので、
他の本にくらべて習得語彙は少ないのですが、そのぶん覚える労力も短くてすみます。
自分のレッスン用のテキストブックを作ったとはいえ、やはり一つのテキストに頼るのではなく、複数の物の良いところを使う、また、生徒が持っている本を有効に使ってあげるというスタイルは変わりません。そして何と言っても大切なのは、実際にあるもの、メニューやパンフレットなどを使う事です。
先生が教えやすいからという事ではなく、生徒の目標やレベル、好みに合わせることが一番大切だと思うので、一つの教科書にこだわることはないと思うのです。
簡単に例をあげます。
まったくの初級者
ローマ字表記の教科書が必要です。基礎文法が乗っているを使います。
上手になってきたら、目標にあわせて変えていきます。
文法を知ってるけれど、話すのが苦手な人
絵がたくさんのっているものを使います。
話題がたくさんのっているテキストブックやサイトの記事について話します。
話せるけれど、文法のミスが多かったり乱暴な話し方の人
日本人の友達がいて自然な言い回しを知っているけど、
変な癖がついてしまっていることが多いです。その癖を直しつつ、
「みんなの日本語」のような文法重視の教科書の入れ替え問題などをさせます。
文字を読むことに興味がなく、レストランでの注文などだけ覚えたい人。
ローマ字表記があるものを選びます。短期間で勉強できるものを選びます。
メニューやチラシなど実際の生活にあるものを活用します。
上級である程度読める人
その人の興味に合わせてNHK news easy や、おもしろそうなサイト「matcha」「ひろがる」などを使います。
サブカル好きの人
マンガの簡単な部分を一緒に読んでみます。
JLPT JLPT対策の本を使います。
ざっと書きましたが、私はこのような感じで教科書を選んでいます。
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